先日最終回を迎えたアニメ【葬送のフリーレン】。
2023年秋アニメから2クール連続で放送された今作。
前評判通りの素晴らしいアニメ作品となりました。
今回は約半年間にわたり放送されたアニメ【葬送のフリーレン】について、うちの個人的な感想を書いていきます。
葬送のフリーレンとは
【葬送のフリーレン】は2020年から週刊少年サンデーで掲載されている作品になります。
原作を山田鐘人先生が作画をアベツカサ先生が担当しており、その独特の世界観と画風からあっという間に人気を博すことになりました。
連載開始わずか1年で2021年マンガ大賞と第25回手塚治虫文化賞新生賞を獲得。
そして2023年には第69回小学館漫画賞を受賞し、つい先日には発行部数2000万部を突破した大人気作品になります。
基本的な内容としてはもはやお馴染みとなっている剣と魔法のファンタジー作品。
主人公のフリーレンもエルフという種族であり、物語も魔族と人類が争っている世界がベースになっています。
ここまでの内容を聞くとどこにでもあるありきたりな作品に思うかもしれません。
ところが【葬送のフリーレン】という作品はかなり異質な作品といえるものでした。
今作が他のファンタジー作品と徹底的に違ったのが、独特な生死観を物語の主塾にしているところです。
悠久に近い時を生きるエルフのフリーレン。
そんな彼女がかつて一緒に魔王を討伐した人間ヒンメルのことを知ろうとする。
すでに命を失いこの世にいないヒンメルを知るための旅路が本作の根幹になっているのです。
そのため要所要所では重たい設定や展開も多数存在していました。
また同時にギャグ展開やクスっと笑える小ネタも多く、ゆるい感じも生み出しているのです。
こういった独特な作風にジブリ風の作画がマッチして高い人気を誇ることになりました。
その人気に押されるように2023年に発表されたアニメ化の情報。
正直不安と期待の両方が入り混じる状態でした。
アニメ化の発表
2023年秋アニメから2クール連続での放送が発表された【葬送のフリーレン】。
初回放送があの金曜ロードショーの2時間枠ということで大きな話題を集めました。
制作会社も高い作画力を誇り、業界を代表する老舗企業マッドハウスということでその期待はさらに跳ね上がることになります。
直前には【オーバーロード】の四期を手掛けており大絶賛されていました。
このため放送前には覇権確定とまで言われていたのです。
ただ世間一般の期待感よりも、うちには少なからず不安がありました。
なぜなら【葬送のフリーレン】はアニメ向きの作品ではないと感じていたからです。
どちらかというと繊細な作品で、良い意味でも悪い意味でも派手さがありませんでした。
また原作自体も当時休載することが多く、アニメのチェックまでは手が行き届かないのではないかと感じていたからです。
そしてなにより一番不安に感じていたのは、作品の持つ世界観をアニメに落とし込むことができるのかという点でした。
先ほども述べた通り制作会社は数々の名作をつくりあげてきたマッドハウス。
1970年代から続くアニメ業界でも最古参の制作会社になります。
そういった意味では技術力やスケジューリングなど、【葬送のフリーレン】という作品を作るのには一番適した制作会社であることは間違いありません。
ただ逆に大手制作会社すぎて、どこまで【葬送のフリーレン】という作品を理解してくれるだろうかという不安が強く残っていました。
それだけ【葬送のフリーレン】の良さをアニメで表現するのは難しいと感じていたのです。
しかし放送が始まるとそんな不安は一瞬で吹き飛びました。
できあがったアニメ【葬送のフリーレン】は全てにおいてレベルが違いすぎたのです。
アニメ化が大成功した理由
作品を見た瞬間伝わってきたのが、制作陣が【葬送のフリーレン】という作品をリスペクトしていることでした。
基本アニメ化されるときに一番問題になるのが原作改変とアニオリ展開。
正直映像作品と紙面作品ではそもそもカテゴリーが違うため、これは致し方ないことだといえます。
しかしアニメ【葬送のフリーレン】においては原作改変が1つもありませんでした。
もちろん細かい変更やアニオリの描写は存在していましたが、物語の根幹に関係するようなことは一切なかったのです。
それでころか原作では説明を飛ばした箇所や理解しにくい場面に、補填するかのようにアニオリが差し込まれていました。
これは【葬送のフリーレン】という作品を理解し、愛情を持っていなければできる芸当ではありません。
さらに声優さんの演技力と世界観に合わせた楽曲と、まさにアニメならではの【葬送のフリーレン】の世界が構築されていました。
特にうち的に一番驚いたのが戦闘シーンの演出です。
もともと原作ではそれほど戦闘シーンに関しては重きを置いて描かれていませんでした。
ところがアニメではきちんとその場面を補填するかのように書き下ろされていたのです。
アニメ2クール目に関してネットを中心に人気が下がるのではないかという声が多数あがっていました。
なぜなら原作でも【第一級魔法使い選抜試験編】は人気がなかったのです。
たしかにこのエピソードは本来のフリーレンらしさが乏しく、うちもあまり好きな内容ではありませんでした。
それを迫力ある魔法戦闘のシーンを差し込んだことで、作品にバトル要素が加わり非常に面白く改変していたのです。
もうこれは感服という言葉以外なにも出てきません。
これは作品を本当に理解していないと絶対無理だと思いました。
その他にも手書きでシュタルクとフェルンの精密なダンスシーンを付け加えたり、本当にアニメ制作スタッフには頭があがらない出来栄えになっていたのです。
原作ファンの中にもアニメ【葬送のフリーレン】は原作を超えたという声まで上がっていました。
その結果、最終回を迎えたあと、多くの人がフリーレンロスになってしまったのです。
かくいううちもその一人ですが。
しかも続編の発表もないため、大人気の【黄金卿編】がアニメ化されるのかどうかドギマキしています。
このように大成功という結果に終わったアニメ【葬送のフリーレン】。
制作陣の原作に対するリスペクトが生み出した最高傑作といえるのではないでしょうか。